「ショートショートとは、短くて不思議な物話。
時にほのぼのと時にブラックに。」
引用:TBSドキュメンタリー番組「情熱大陸」ショートショート作家 田丸雅智より
↑これ見たら書きたくなって、20分くらいで書いてしまった。(これ、ショートショートなん?というツッコミ禁止!)ほんとはブラックの方のを書きたかったんだけど、ほのぼのになった?(←ネタバレ?)
そして楽曲知らないと伝わりにくい。(ネタバレ2)
でははじまりはじまり〜。
「恋をするららちゃん」
私はついに見てしまった。ららちゃんの長い長い睫毛からつつつーと出ているのを。涙だ。
夜勤明けの朝、私は帰宅すると100%寝ているだろうららちゃんを起こさぬように、そろりそろりと近づくのだ。
その涙は直感で、だれかを想って流したものだとわかった。
私はららちゃんの顔をそおっと3秒ほど見て、またそろりそろりと立ち去り、シャワーを浴びた。
「あら?ユキコ帰ってたの?」
シャワーを浴び終え、リビングへ戻るとららちゃんは起きていた。
ららちゃんはスッキリした綺麗な顔をしていた。
「うん。」と私が答えるとららちゃんは遠くを見るような瞳で黙っていた。
私は咄嗟に
「ららちゃんさー、たまにはパァーッとお酒でも飲む?日本酒の美味しい忘時庵てお店、前に連れてったよね?またパァーッとやろうよ!」
ららちゃんは、今度はさっきとは違った遠い目をしながら、
「ユキコ、何言ってんの?ららはぬいぐるみだから、おさけ呑めないどころか飲食出来ないのよ。」
私は慌てて
「何も言わずに付き合うからさ。季節外れの花火でもする?水張ったバケツ持ってさ、煙に襲われ走りながらさ、公園でも行く?」
ららちゃんは、さらに遠い目をして
「ユキコ、ますます何言ってんの?ららはぬいぐるみだから、涙目にもならないし、ポロポロ弱い言葉も出て来ないし、第一、花火持ってユキコが走れば、ららは丸焦げになるかもしれないよ!」
「でも・・・」と続けるららちゃん。
「笑っちゃったじゃない。いてくれて良かった。」
私は真剣に言う。
「ららちゃんを絶対に丸焦げにはさせない!髪切るなら付き合うよ!かっこ悪くたっていいじゃない!!」
ららちゃんは遠い目を通り越して、細目になりながら、
「ユキコ、さらにさらさらに、何言ってんの?ららの毛を、、お毛々を切ったら、ららは、、真っ白なららは、らくだ色になっちゃうよ。」
「でも・・・」と続けるららちゃん。
「笑っちゃったじゃない。来てくれて良かった。いてくれて良かった。今日はホンと サンキュ.」
ららちゃんは大人の階段を登った。君はまだシンデレラさ。大人の階段もっと登りたかったら、忘時庵に行くといいよ。音楽と書好きな熊木店主が選りすぐりの日本酒をおしえてくれるよ。
酔っぱらたかのように寝てるららちゃん。
忘時庵店内には、書家でもある店主の作品たちがたくさん出迎えてくださる。
※Special thanks
「サンキュ.」DREAMS COME TRUE(1995)
https://youtu.be/p4BooNQlszQ
※Special thanks
「想い出がいっぱい」H2O (1983)
https://youtu.be/04SpqyUcNlM
※Special thanks
「忘時庵」